RPGツクールの思い出
現在、時刻は7時に差し掛かり、空はすっかり白く明るんでいる。
今日は午前から予定があるので早めに寝ようとしていたのだが、急に、中高生時代に作ろうとしていたRPGツクール作品のことを思い出した。頭の片隅からそれらの記憶を追ううちに3時間が過ぎていた。
このままではわずかな時間しか眠れないし、寝たとしても予定の時刻までに起きることができる保証もないため、どうせならこうして記憶を形として残しておくことを選んだ次第である。
中学生当時、私はいわゆるニコ厨であり、また私にとって当時のニコニコ動画は今はなき輝きに満ちていた。その煌めく動画群の中でも、特にルーツ氏の「中二の頃作った黒歴史RPGを実況プレイするぜ」が好きだった。(動画は以下)
概要 : 自由気ままなストーリー展開に翻弄されるルーツ氏。やがてストーリーは未完成のまま進行不能状態となってしまう。しかし、ルーツ氏は少年時代の物語を最後まで完成してみせる。
当時の私はこの動画に感銘を受け、自分もRPGを作ってみたいと思うようになった。
そして中古でPS2用ソフト「RPGツクール5」を購入し(500円くらい)、自分だけのゲームを作ろうとした。...のだが、初心者ツクラー(*ツクラー : ツクールシリーズのユーザーの俗称)の宿命かな、ゲームは完成することなく制作は頓挫してしまう。
頓挫した原因としては、RPGツクール5が非常に難易度が高かった(ゲーム内イベントのつくりかたがプログラミングに近い。そのため自由度は高いがやはり上級者向けである)ことと、ストーリーがおおまかにしか決まってなくて、実際にゲームを作ろうとする時に細かいイベントを考える脳みそがなかったことが考えられる。
この出来事によって少年であった私は、ゲームに限らず何か作品を最後まで作ることは難しいということを学ぶのだが、月日が経つにつれて未完成の作品のことは忘れ去られていった。
さらに時間は流れ、本稿の冒頭に至る。
本来の流れであれば、私も偉大なるルーツ氏のように昔作った未完成の物語を完結させるというのがスジであるのだろうが、正直今の私には精神的にも時間的にも余裕がないため、頭の中から掬い上げることができた物語のプロットだけでもここに記しておくことにする。(記憶の内容は非常に曖昧で、また現在の自分の思考と混濁していることを留意されたし。)
以下プロット
ゲームのタイトルはちゃんと決まってなくて、仮タイトルとして「season gathering」としていた。
- 季節集めという意味ならgathering seasonの方が正しいのでは
ある日、妖精界に住む、妖精の少女「シキ」は、妖精の王の勅令を受ける。
勅令の内容 は、「人間界の時間を動かす「時の歯車」が何者かによって盗まれてしまったため、人間界の時間が止まってしまった。 王や他の妖精達は忙しいので暇なシキとその辺にいた黒ネコのお前たちふたりがどうにかして時の歯車を取り戻して人間界の時間を元に戻すのだ。」といったもの。
- 猫がパーティメンバーなのは完全にルーツ氏の影響を受けている
- シキの格好はゼルダの伝説 風のタクトに出てくるテトラみたいな感じだったと思う。性格は元気活発。
シキと黒猫(話せる)は別の場所にワープできるという大きなゲートをくぐり、白い光に包まれる。
ゲートを抜けた先には暖かな日差しと、草花が生い茂る草原が広がっていた。
そのまま歩き、程なくして街を発見する。
街で話を聞くと、ここは春の世界であるということがわかる。
さらに話を聞くと街を外れた先に洞窟があり、そこに町人の大事なアイテム(思い出せない)を盗んだ輩がいるとのこと。
街を出て北にずっと進むと、大きな壁にぶち当たる。壁は緩やかなカーブを描いていて、壁沿いに進むとそれが巨大な円柱であることがわかる。壁の中は現時点ではわからない。
そして壁に沿って進むと例の洞窟を発見する。洞窟の最奥でエルフのような男の盗賊と会う。どうやらこいつが例の盗人らしくて戦うことになる。
盗賊をこらしめて街に戻り、町人にアイテムを返すとお礼に(?)時の歯車を手に入れる。時の歯車はどうやら4つあるらしくてすべて集めないといけないらしい。
- お礼に超重要アイテムを貰えるのはどうなんだろうな...。スーパーマリオサンシャインの、シャインを隠し持つドルピックタウン住民みたいな。それにしてもイベントの粗さが目立つ。
- 実際にゲームに落とし込んだのはここまでである。あとは設定だけなので詳細なイベントなどはない。
- ちなみにゲーム内の魔法は春夏秋冬で属性分けされている。春魔法は回復。夏魔法は火のエフェクト、秋魔法は風や雷のエフェクト、冬魔法はやはり氷のエフェクトが現れる。春を除いた攻撃三属性は、夏魔法は冬属性に強く、秋魔法は夏属性に強く、冬魔法は秋属性に強いといったふうに三竦みになっていた。逆だったかな?
そして世界をぐるりとまわると空に続く階段があり、登ったその先は夏の世界だった。そうしてシキ達は春夏秋冬の4つの世界を旅し、登っていき、時の歯車を集めていく。
冬の世界にある階段を登った先はどうやらこの春夏秋冬の世界の頂上で、今まで登っていた世界は大きな樹であったことがわかる。頂上にある神殿の最奥にある機械に時の歯車を嵌め込むと、機械が動き出し下に向かう階段が現れる。どうやら時の歯車だと思っていたものは本物の時の歯車ではなく、まだ人間界の時間は元に戻っていないようだ。シキと黒猫は階段を降りていく。
- 昔は魔界塔士SaGaや世界樹の迷宮のように塔を登っていくゲームをよくプレイしていた。春夏秋冬は世界樹IIのパクリかな。
- 頂上の神殿は位置的には春の世界にあった円柱状の壁の中と同じ場所にある。言い忘れていたが、円柱状の壁は夏秋冬の世界にもある。つまり階段の下は円柱の中である。
階段を降りた先はまた冬の世界だったが、先程とは違い、世界は壁で囲まれており常に暗い。
円柱の外の冬の世界で発生した出来事の裏側や関わった人々の裏の面がわかるようになる。
何かしらの事件を解決するとかで本物の時の歯車を手に入れる。新たな階段が現れる。降りる。次は秋の世界。
と言った感じでこんどは冬秋夏春の順に裏の季節を進んでいく。進む毎に世界は悲惨になる。
春の世界の階段を降りると地獄のような光景が広がっている。どこかにある神殿を探す。神殿の最奥には形容し難い怪物が機械を守っている。怪物を倒して機械に本物の時の歯車を嵌め込むと、機械が動き出し、シキは白い光に包まれて意識が途絶える。
シーンは移り、少し大人の姿になったシキが現代風の部屋で机にうつ伏せになって寝ている。シキは目を覚ますと、机の正面にある窓を開けて、深くのびをしたあと、部屋の外に出かけていく。開けっ放しの窓から桜の花びらがひらひらと入ってきて机の上に落ちて終わり。
- 夢オチである。
- 夢オチのままだとあんまりなので、シキの少女時代に起こった出来事と夢の世界を通して折り合いをつける的なストーリーだったら良かったかもしれない。夢の世界で過去を示唆する伏線を入れたり。どちらにしても細かいイベントを設定するのはやはり難しそうだ。
- 世界を降りていくのはアルトネリコのコスモスフィアっぽいなあと。コスモスフィアは世界を降りていくと次第にヒロインの深層心理がわかるという演出をしている。この作品も次第にシキの深層心理が判明していく(もしくは示唆する程度の)感じだったら面白かったかも。
プロットは以上であるが、やはりストーリーは破綻していて、細かいイベントがひとつも考えられてない状態で... もう何もかもが非常に稚拙なものであったけれども、それでも私にとっては非常に愛しい物語だったのだ。私も少年時代との一種のけじめとしてこのプロットをここに置いておこうと思う。
了